• テキストサイズ

メメント・モリ

第1章 翼の生えた男と私の願い


―――さて。

終わりを知らされたとしてどうだろう?

感情が生まれた?

悲しみがある?

喜びがある?

脳内をフル回転させて考えてみたものの、私には・・・何も浮かんでは来ない。


そんなとまどう私をじっと見つめて。

そして彼は言った。


「あと少しだけ時間があるんだ・・」

右側にある時計を仰ぐように見る、その横顔が綺麗で目が離せない。




ゆっくりとこちらを向いた瞳は真正面から私の視線を捉えた。


「そうだな・・最後に・・・・・・・・何か聞きたいことはあるかい?」



・・・。


最後に?


本当に・・・これで最後なの?


この世界が終ってしまうことを考えても、その言葉の含んだ大きさに目眩がし、処理ができないんだ・・。


ねぇ、

何を聞けばいい?


世界が終る間際に幸せになる問いなどあるだろうか?



『幸せ』?



そもそもここで人生が終わってしまうのならば・・・



私は、

私はなぜ・・
/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp