第1章 翼の生えた男と私の願い
―――さて。
終わりを知らされたとしてどうだろう?
感情が生まれた?
悲しみがある?
喜びがある?
脳内をフル回転させて考えてみたものの、私には・・・何も浮かんでは来ない。
そんなとまどう私をじっと見つめて。
そして彼は言った。
「あと少しだけ時間があるんだ・・」
右側にある時計を仰ぐように見る、その横顔が綺麗で目が離せない。
ゆっくりとこちらを向いた瞳は真正面から私の視線を捉えた。
「そうだな・・最後に・・・・・・・・何か聞きたいことはあるかい?」
・・・。
最後に?
本当に・・・これで最後なの?
この世界が終ってしまうことを考えても、その言葉の含んだ大きさに目眩がし、処理ができないんだ・・。
ねぇ、
何を聞けばいい?
世界が終る間際に幸せになる問いなどあるだろうか?
『幸せ』?
そもそもここで人生が終わってしまうのならば・・・
私は、
私はなぜ・・