第3章 友人カミシロ
一通りファミレスでご飯をすませた私たちは、黒崎くんの車に乗り込む。
「早瀬さん、この後雑貨屋行くんですけど付き合ってくださいよ。」
黒崎君の運転は荒い。
マニュアルじゃなくオートマだったらまだましだったろうに・・身体を揺らしながら車は動き出した。
「う~ん、5時くらいまでならいいよ。」
「なんだよ、俺も授業なければ絶対行くのに。」
「神代君この後なんの授業?」
「教育心理学。教員免許のために絶対落とせないやつ。」
「そういえば、教員の免許取るって言ってたね。」
ルームミラーで黒崎君とちらっと眼があった。
「なんで5時?もしかして夜予定でもあるの?」
黒崎君の言葉がまるで聞こえなかったように雪菜は無視して言葉を投げた。
「っていうか、黒崎君も教員免許とるっていってたよね?」
「僕はいいんですよ、一日二日休んでもどうにでもなるんで」
何の悪びれもなく言う彼だが、これはこれで嘘ではない。
事実本当にどうにでもなっているのだ。
実際のところ黒崎くんは神代くんよりも頭がいい。
「神代くん、なんか言ってあげてよ。」
「黒崎に何言ったところで聞いた試しがないし。」
そんな風に言いながらも、面倒見のいい兄気質の神代は、黒崎に対してもちゃんと言うべき時には意見するのだった。
今回なにも言わない所をみるときっと今日は本当に休んでも大丈夫なのだろう。
神代のチェックは厳しい。
そんな神代くんだから、さっきは聞こえないふりをしたけれど・・。
・・・。
そう、今夜は予定がある。
有香が組んだ、飲み会という名の合コンが・・・