第3章 友人カミシロ
合コンなんて・・・。
雪菜は窓の外を見ながらため息をついた。
初対面の男の人と飲んで気を使って話して何が楽しいのだろうか?
相手のこともよく知らないまま出会い。
全く相性が悪い相手の時は苦痛の時間を強いられた上にお金だってかかる。
が。
それでも、その出会いがなくては恋は始まらないのだと友人の有香はいう。
確かに出会いがなくては恋は始まらないというのは分かる。
・・・けれど、それは合コンでなくてもよいのでは?と、雪菜は思うのだった。
お互いに品定めをするような場に思えてしまってどうしても好きになれなかった。
けれど、「あたしの運命の出会いが合コンにあったらどうするの!!!」と、半ば脅迫じみた有香のセリフに負け、私たち4人グループは全員参加となるのだ。
有香、はやく彼作ってくれないかなぁ・・・
「夜、どこか行くの?」
思い出したように、神代が助手席から振り返り問いかける。
「え?」
驚く自分の声と同時に、
「・・・・。うん、香奈たちとご飯なの。」
と雪菜は答えた。
嘘じゃない。
雪菜は一人うなずく。
幼いころから、嘘は絶対についてはいけないと学んできた雪菜は、嘘をつくことに対して恐怖心にも似た抵抗があった。
だから嘘はつかない。
けれど、このとき、雪菜は神代に“正確な答え”を言うことはできなかった。