第2章 親友クロサキ
見て見て!!
すごい!!
広ーーい!!!
黒崎君、本当にプールあるよ!!滑り台も!!!
あ!
ベッドおっきい!テレビも!冷蔵庫もあるよ!!
あ、黒崎くんの好きなスロットもあるよー!!!
バタンバタンと扉を空けながら、興奮気味に話す私を、ソファーに座ってる彼は生返事で返す。
「折角だから、私プール入ってくる。」
そういって、脱衣所まで来たところで、あたりまえだが水着がないことに気付く。
・・・・なにしてんだろ・・・自分。
ここはラブホなのだから、裸で泳ぐものなのだろう。
・・・・・。
迷った末、下着姿のまま泳ぐことにした。
急に静まり返った空間にぽつりと我に返る。
「・・・暖かい。」
プールの水はぬるめのお湯だった。
小さめの滑り台に上がると・・・
ため息が出た。
ため息とともに、もうひとつ何かがこぼれた。
・・・・私は泣いていた。