第2章 親友クロサキ
週末を空けた月曜日、
バイト先に行くと、黒崎君が入口のところで煙草を吸っているのが見えた。
いつもどおりに接しないとと、おはようと声を掛ける。
「・・・なんで電話出なかったんスか?」
「あぁ、だってもうすぐ着くとこだったし・・」
不思議な顔をする私をよそに、黒崎君は深刻な顔をしていた。
ガラガラと店の裏手のドアが開いて店長が出てくる。
びくっと緊張する内心を必死で押さえて、できる限りの平常心で笑顔を作って挨拶する。
「あ、店長、、おはようございます。」
ペコと、頭を下げた笑顔に降り注いできた言葉はこうだった。
「お前、今日でクビだから今すぐ消えて。」
・・・え?と声にならない声をあげて顔をあげると、歪んだ顔をした店長がそこに居た。
「お前みたいなキモチ悪いヤリマンと同じ空気吸ってると思うと吐き気がしてくるんだよね。
ホントウザいから、二度とそのブサイクな面みせないでくれる?」
ぼうぜんと立ち尽くす私は、
そのまま次の瞬間、黒崎君に吹っ飛ばされる店長をスローモーションのように眺めていた。
お腹を押さえて、店長は嘔吐している。
なにが・・なんなのか・・・
「今日までのバイト代はちゃんと入れてくださいね。」
コンクリートの上で小さく丸まった店長に、黒崎くんはそれだけ言うと、くるっと踵を返してこちらに向かってくる。
私の手を取って歩きだした。