第9章 月に願いを・・・
「・・・またキツイ酒のんでますね。」
「酔いたい気分なんだ・・・」
「格好いいですね。なんていいませんから。」
・・・・ふっと笑みがこぼれた。
出会ったときからハルは遠慮なしに思ったことを口にする。
同じ大学の後輩だっていうのに容赦なし。
不思議な男だな、と思う。
妙に諦めたような大人びたことを言うかと思えば、感情を丸出しにしたような子供じみたことも言う。
掴みどころのない性格だと思いながらも、セイは嫌いじゃなかった。
「ハル、前に誰のことも好きにならないって言ってたことあったよな。」
「なんですか、いきなり。」
「そんなことできるの?」
「できる訳ないじゃないですか。」
「・・・・嘘つき。」
「嘘じゃないですよ、願いを言っただけなんで。腹黒いだけです。」
「・・・・願い、かぁ。」
「もう酔ってますね。見た目と違ってほんとに酒に弱いんだから・・」
コン、と目の前に水が出てきた。
「なんで願うの?」