第9章 月に願いを・・・
「どうして?」と私が思わず尋ねると、
セイが、「手、貸して。」と私の手を握る。
うわ。またドキドキする。
「願いはこれで叶ったことになる?」と聞かれて、
ドキドキしながら、「うん」と答えた。
緊張している私が面白かったのか、
クスッと笑ってセイは言う。
「そうだね・・・でもこれで終わりじゃない。」
「?」
「手を繋いでから始まるセカイがある。」
忘れがちな、願いが叶った後のセカイ・・・。
「俺は人を幸せにできない。」
セイがさらりと放った絶対的な闇。
固まっている私に、
「だから、願いは叶えられない・・かな。」と笑う。