第9章 月に願いを・・・
私たちも、駅に向かって歩き出す。
「これで良かった?」
へ?と、振り返ると、セイはまたふんわりと笑っていた。
神代君と帰らずにすんでほっとした半面、
ありがたい気持ちと、不安がこみ上げる。
神代くんといたくなかったのばれたのかな…
「・・・逆に、迷惑じゃなかったですか?」
「俺は大丈夫だよ。電車も同じ方向だしね。」
本当かな?なんて疑いつつも、
少なくとも、嫌われてはいないのかな。と全然他ごとを考えてちょっと幸せな気持ちになった。
こんな時にも、頭の中はセイにどう思われているかどうかになるんだ・・。
「あの…」
「ん?」
一つ、別のことが浮かんできたので思い切って口にしてみる。
「あの・・・さっきの話、もしもセイが願いを叶えてあげられたらどうしますか?」
「どうかな・・・・」
ぼんやりと前を見つめて考えた後、
ドキドキしながら答えを待っている私に帰ってきた答えは意外なものだった。
「俺が願いを叶えてあげられる人は居ないよ。」