第9章 月に願いを・・・
左手首がぐっと掴まれ、反動で身体が左側に回転する。
!?
「悪い、忘れてた。話の途中だったんだ。責任もって俺が家まで送っていくよ」
初めて聞くセイの大きな声。
ドキドキしながら、起こっている現状に驚く。
掴まれた左手首に意識が集中して、また顔が熱くなっていくのが分かった。
「・・・願い事、叶えるかどうかの途中だったろ?」
声をひそめて、セイが聞いてくる。
私は小さくうなずいた。
「大丈夫なのか?」
神代君は怪訝そうにこっちを見てる。
「大丈夫。・・・ごめん、やっぱり今日はセイさ…セイに送ってもらうね。」
「・・・・・・・分かった。
じゃあ、帰ったらちゃんとライン入れろよ。」
また、お兄ちゃんみたいなこと言ってる。
「うん、分かった。」
自転車にまたがった神代君は、ちらっとセイを見た。
「よろしくお願いします。」
それだけ言うと、神代君は行ってしまった。