第2章 【第1章】Y学園にはミステリアスな先輩がいる!?
「あと、廊下を滑るように移動してるわね。龍我先輩って身長はどのくらいなんですか?」
「そうだな…」
ラントは部屋にいる全員を見渡し、ジンペイより拳ひとつ分ほど高いくらいだと告げる。
「じゃあジンペイ君でもメラ先輩でもないわね。この赤い影、チユ先輩よりだいぶ身長が高いし、たぶん獅子黒より大きいもの。それに、体型が全体的に細いからバケーラでもないわね」
「ということは…新しい怨霊キター!!」
「やはり、怨霊ということになるか…」
「やはりって…ラント先輩、怨霊かもしれないって気づいてたんですか?」
「あくまで可能性として考えていた。しかし確証がなかったからな。だからお前たちに見せたんだ」
「あ〜、もしかしてラント会長…幼なじみの龍我先輩が心配で、情報収集なんてかっこつけてオレたちに協力してほしかったんじゃ…」
「私は生徒会長として生徒の全てを管理する義務がある。生徒の安全を守るのは当然であり、その使命を全うしているだけだ」
「素直じゃないなあ〜!それくらい、オレたちYSPクラブにどんと任せろって!」
普段から鬼のように厳しい生徒会長のたまに出る優しさが見れて嬉しそうなYSPクラブ。
チアキも、龍我チユという人物が生徒会長の弱みを握る鍵かもしれないと、下心を隠しつつ協力を申し出る。
「お前たちがどう思おうが構わないが…チユに手を出すのは許さんぞ」
「わー怖い怖い…」
ラントに釘を刺され肩をすくめるチアキ。
「じゃあまず本人に話聞きに行こうぜ!2年生校舎に行けば会えるかも!」
「兄貴、それなら軽音楽部室はどうだ?チユ、軽音楽部だし、今ちょうど部活してると思うぜ」
「でかしたメラ!よ〜し、軽音楽部室にしゅっぱーつ!!」
「「おーっ!!」」
「…ほんとにそいつ、エイリアンじゃないんすよね?」
「…可能性は低い、と言ったはずだが?」
「もし、アンタのアテが外れてたら…その時は勝手にさせてもらうから」