第2章 【第1章】Y学園にはミステリアスな先輩がいる!?
「あれ?ラント先輩、龍我先輩の情報そんなに持ってるのに、なんでわざわざ情報収集なんてオレたちに頼むんだ?」
確かに、と各々が思う。
「それは…チユが夜な夜な不審な動きをしていることが目撃されたからだ」
「夜な夜なって…学生寮って夜間外出は許可がないと無理なんじゃ…?」
「いや、彼女は学園長から特別許可を得ている。…理由は不明だがな」
理由を調べきれなかったことが不満なのか眉をひそめるラント。
「じゃあ問題ないんじゃないの?学園長からの許可なんて滅多に降りないんだし」
「普通ならな。だが、夜に出歩く彼女の様子は明らかに異常なのだ」
実際に見た方が早い、とラントはどこからか取り出したタブレットを見せる。
それはY学園の監視カメラの映像らしく、Y学園の様々な場所が写っている。
「これは昨日の夜、学生寮前と校舎内の映像だ」
学生寮から女子生徒が出てくる。画質が悪く細かいところが見えないが、おそらくこの人物が龍我チユなのだろう。
女子生徒はキョロキョロと周りを見たあと、逃げるように学生寮を出ていった。
場面が切り替わり廊下が映る。校舎内の映像だろう。
こちらの映像でも彼女は何かから逃げるように走っている。
メラは普段から真面目で校則を守る彼女が、廊下を走っていることに疑問を抱いた。
「それぞれの映像で、彼女の後ろをよく見てほしい」
「後ろ?…んん〜?」
「なんか、赤い影が追いかけてるように見えるね」
「メラじゃないのか?」
「俺じゃねえっすよ!!つか、兄貴も髪赤いだろうが!!」
ふと思いついたジンペイに対し、友達を、しかも女の後をつけていくなど漢の風上にも置けない、と全力で否定するメラ。
「でもこの影?って言えばいいのかしら。全体的に赤っぽいし、人とは思えない形なのよね」
フブキの言う通り、チユを追う影は人型っぽくは見えるが、背中にドラゴンのような翼が生えているのだ。