第8章 【第6章】来星ナユ、ついに対面!!
一方、チユを連れて保健室へ向かったメラたち。
幸い、保健教師であり学園一の美女でもある園等なつきは保健室に滞在中であった。
事情を聞いた園等は、すぐに奥のベッドへチユを運ばせた。
園等に診察を受けているチユは、身体に触れられても、声をかけられても未だに目を覚まさない。
「………」
「せ、先生…チユ先輩、大丈夫ですよね?」
「まさか、このまま目が覚めないなんてことは…」
難しい表情でチユの身体を診(み)る園等の様子を見て不安げなフブキとマタロウ。
メラは腕を組んで壁に寄りかかり、その様子を静かに見ていた。
「…なんとも言えないわ。恐らく、脳や精神に無理な負担がかかったことが原因ね」
「脳や精神に…負担?」
「あっ!!もしかして、僕らがエイリアンに記憶を奪われたことと関係が…?」
マタロウの鋭い指摘に園等は頷く。
「ええ。メラ君からの話をまとめてみると…ナユさんはチユさんを懐柔(かいじゅう)しようとしたんだと思うわ」
メラは風紀タワーの最上階で怨霊と戦いながらも、ナユが零(こぼ)した独り言にしっかりと耳を傾けていたのだ。
_「あーあ、あともう少しでチユの記憶をいじれるところだったのに… 」_
来星ナユは人間からエイリアンに関する記憶を消す力を持っている。
その力の応用で、チユの記憶を都合よく改ざんしようとしたのだろう。
メラが到着するまでに、かなりの時間があったにも関わらず改ざんできなかったのは、チユの体質のせいではないかと園等が結論づけた。
「チユさんの身体は、まるで人間とエイリアンが融合したようだわ。そのエイリアンの部分が、ナユさんの力に対抗したのね」
「そんなことが…!?でも、対抗できてたのに…なんでチユ先輩は起きないんですか?」
園等の推察に感心しつつ、フブキは疑問を口にする。