第8章 【第6章】来星ナユ、ついに対面!!
外へ出ると、ちょうど怨霊が倒された後だった。
ラントたちは直ぐに変身を解きメラの元へ集まる。
「チユ!!」
「メラ先輩!チユ先輩は…」
「お、落ち着けって!ほら、気ぃ失ってるだけだ」
メラは慌てる皆に腕に抱くチユを見せる。
「良かった、特に怪我もないし…でも一応、園等先生に見てもらった方がいいですよね?」
「私が運ぼう。雷堂、チユをこちらへ」
「…いや、俺が連れて行く。きっかけはどうであれ、風紀タワーへ行かせたのはお前らなんだろ」
「「!!!」」
「…まー確かに、返す言葉もないや」
「…ごめんなさい…」
「……」
「…とにかく。チユは連れてくぞ」
「わ、私も行きます!」
「僕も!」
足早に立ち去るメラに慌ててついて行くフブキとマタロウ。
「…どうする?チアキ」
「ここで僕らが行っても騒ぎになるだけっしょ」
「そうだな。…お前は?」
ノズチカがふとラントへ目を向ける。
「…私は今回のデータをまとめなければならない。ここで失礼する」
ラントは去っていくメラ…正確にはその腕に抱かれているチユをしばらく見つめた後、踵(きびす)を返して生徒会へと向かう。
「…僕も着いてけばよかったな」
「…誰が着いていこうが、来星ナユはチユに手を出しただろうよ」
シュン、と落ち込むチアキを慰めるノズチカ。
一方、ラントは生徒会に向かいながら、今回の出来事を悔いていた。
「(私が早く来ていれば…)」
守りたいと思う人は、守りたいと思う時に限ってこの手の届かない場所にいる。両親も、妹も、チユも。
_チユが、常に傍に居てくれたなら。自分が常に傍に居たなら。
今回は守れなかった。運良く奪われなかったが、次こそは。
「(俺は…チユ、君が…)」
この想いを抱くことは許されるだろうか。彼女の傍に居ることに、彼女に寄り添うことに、自分は許されるのだろうか。
_いつになったら、この想いを君に告げられるのだろうか。