第8章 【第6章】来星ナユ、ついに対面!!
「チッ…今はてめぇらの相手してる場合じゃねえんだよ!!」
後ろに振り向きざまに吠(ほ)えるメラ。そこにはどす黒いオーラを纏った怨霊たちがメラと獅子黒を囲むように存在している。
「(早く行かねえとチユが…!)獅子黒、一気に片付けるぞ!!」
「はい、親分」
_そして運良くラントたちが現れ、なんとか風紀タワーに入れたのだった。
「親分、もうすぐ最上階です」
「ああ…待ってろよ。チユ!!」
火の中から妹を救ったことを思い出す。あの時は必死だった。家族を失いたくなくて、ただ助けたい一心で燃え盛る炎の中へ飛び込んだ。
そして今、あの時以上に自分は燃えている。失いたくない、助けたいだけではない。あの日と違うことは、助ける人物が妹ではなくチユだということ。
「(…俺は…お前が…)」
チユは、家族と同じくらい。いや、家族以上に大切なのかもしれない。
初めて会って過ごした日々の中で、それは芽生えていった。そして過去を知ったあの日から、自分の彼女に対する想いを自覚した。
_守ってやりたい。傍にいてやりたい。エイリアンに奪われた分も、これから先も。ずっと一緒に隣に居たい。
まだ、伝えられないけれど。伝える勇気がないけれど。この想いは誰にも負けない。
「(俺はまだお前に、何もできてねえ!!)_チユっ!!」
(バァンッ!!)
メラは渾身の回し蹴りで最上階の扉を蹴り開けた。
「…まったく。もうちょっとスマートに開けられないのかしら。(ボソッ)もう少しだったのに」
「……」
「っチユ…」
部屋にはソファにゆったりと寛(くつろ)いでいるナユと、ナユに膝枕をされ横たわっているチユがいた。
ぐったりとしているチユに駆け寄ろうとするメラ。
だが易々(やすやす)と許してくれるナユではない。
「…私のチユに気安く近付かないで」