第7章 【第5章】正義のハッカーになろう!!…と思ったのに
チユはエイリアンに対して様々な疑問を持っている。
_なぜ子供を攫い、薬物投与を行うのか。
_なぜラントの家族を奪っていったのか。
_なぜ自分の手足を異形にしたのか。
おそらくチユとチアキがされた実験は同じ系統のものである。
フレアルーパーと戦闘後、改めて話を聞けばチアキ以外に謎の薬物を打たれた人間は全員人ではなくなったという。
チアキ自身にも体に蛇のようなアザができるといった後遺症が残っている。
チユはチアキより実験体としての期間が長いためか、はたまた忌まわしい実験の成果なのか、手足が異形になる程度にとどまっている。
手袋に隠された手のひらを見つめながらチユは言葉をポツリとこぼす。
『皆の話を聞いてから、初めて考えたの。エイリアンの目的って、なんなんだろうって』
地球には戦争や争いごとが存在するように、宇宙にもそういった事情があるのだろう。
映画でよくあるように、地球侵略や人間を支配することを考えての行動なのかもしれない。
だが、それにしては行動があまりにも陰湿だ。人の人格を乗っ取れるなら、国の大統領にでも取り付いてしまった方が事は早く進む。
なのになぜ、と呟くチユにラントはピシャリと言い放つ。
「エイリアンの考えなどどうでもいい。奴らは私の家族を奪い、チユの体を実験体としての弄(もてあそ)んだ。それだけだ」