第5章 【第4章】ついに明かされる先輩の秘密!!
石を投げ入れた水面のように歪んだ影から姿を現したのは、大きなウーパールーパーだった。
全体的に赤く、両頬にある触角と尻尾が燃えていたりと普通のそれと違う風貌だ。
「チユ、ルー、呼んだ?」
『うん。ごめんね、寝てたのに』
チユはルーと呼ぶそれを抱えて立ち上がり、皆によく見えるようにした。
「でっけートカゲ!!チユ先輩の怨霊?」
「トカゲというより、ウーパールーパーじゃないかな?」
『この子は"フレアルーパー"っていうの。多分、怨霊…なのかな?』
「お前も分かってないのかよ!」
チユ自身も把握できていない様子にツッコミを入れるメラ。
どうやらつい最近チユの前に現れたらしい。まるで雛鳥のように着いてくるフレアルーパーを見て見ないふりすることは、チユにはできなかったのだ。
「それが、君を夜な夜な追いかけている影の正体か?」
『うん。ルーくん、夜行性みたいで…夜になると巨大化して動き回ろうとするから、連れ出して散歩させてるの。確かに、はたから見たら追いかけられてるように見えるかも』
フレアルーパーに対しての誤解があることに気付いたチユが説明する。それを聞いてジンペイは興味が失せたように話す。
「なーんだ、追いかけられてるんじゃなかったのか」
『ごめんなさい、誤解させてしまって。でも、火を吐くこともあるから、学生寮に居させるのは難しくて…』
「火を吐くって…お前も危険じゃねぇか!」
『わ、私は大丈夫だから!ほら、この手、熱いとか痛いとか感じないし…』
「…つまり、この生物に攻撃されたんだな?」
『あっ』
墓穴を掘ってしまい焦るチユ。何とかフレアルーパーをフォローしようとするが、それもラントにより無駄になる。