第5章 【第4章】ついに明かされる先輩の秘密!!
「手袋をしていたのはその手が原因だったのか…しかし、何故このような手に?」
『…私とラント君が知り合ったのって、私がラント君の隣に引っ越してからだよね?』
「ああ。…!まさか!?」
『私は引っ越してくる前…エイリアンに捕まってたの』
「『!!?』」
衝撃の事実に息を呑む。チユもエイリアンの被害者だったことに驚きを隠せないようだ。
『物心ついた時からUFOで過ごしてて、本当の両親も分からないの。ずっと、人体実験…って言えばいいのかな。色んな液体が入った注射を打たれたりしてて』
二の腕から手首にかけての部分を擦(さす)りながら語るチユ。おそらくその広範囲に薬物を打たれたのだろう。
『気付いたら、手も、足も、こんな風になってて、私、人間じゃなくなるんじゃないかって、怖くて』
ずっと鉄製の壁の中で過ごしてきたチユ。日に日に自分の体が内側から変わっていく感覚に、とうとう耐えられなくなったチユは逃げ出した。
部屋から出るのは思いのほか簡単だった。ジンペイが例えたドラゴンのような手は鉄製の壁を貫き破壊した。
UFOから警報音が鳴り響く中、チユは構わず穴の空いた壁から飛び降りる。
このままずっと実験体のように生きるくらいなら、と意を決した決断だった。
幸い、四肢が異形に変化した上に、身体能力が人並み以上に発達していた彼女は上手く地面に着地できた。
そして運良く心優しい大人たちに保護され、何とか今まで生きてきたのだ。
『あの時、エイリアンにラント君の家族が襲われて、私のせいだって思ったの。私が逃げ出したから、私が、悪くて_』
「違う!!!」
『…え…』
自己嫌悪になり始めたチユにラントはたまらず叫ぶように否定した。