第5章 【第4章】ついに明かされる先輩の秘密!!
会話がひと段落したところで、ついにラントが本題を切り出す。
「では改めて、チユ。君が最近夜間外出をしていることを目撃されている」
『…っ』
「君が学園長から夜間外出許可が出されているのはもちろん把握している。だが、以前よりも頻度が増している。それは、君の背後に"赤い影"がいることと関係があるのか?」
『あ、"赤い影"って…ラント君、見えたの?』
「会長だけじゃねえ。俺にも見えたぜ」
『メラ君も…』
そしてオレもオレも!と主張するジンペイや1年生たち。ノーズもチアキから大方事情を聞いたらしく、知っている様子だ。
『………』
チユには迷いがあった。友人たちに全て打ち明けて楽になりたい、助けてもらいたい。自分1人ではもうどうにもならないことなんて、とっくの昔に分かっている。
しかし、それと同時に躊躇(ためら)いもある。全てを打ち明けた後、果たして彼らはいつもと変わらず自分の傍にいてくれるだろうか。
かつて幼なじみの家族が消えてしまったように、彼らもいなくなってしまわないだろうか。
『…っ…』
嫌だ。消えてほしくない。いなくならないでほしい。
傍に居られなくてもいい。だから、どうか平穏に、普通の生活を送ってもらいたい。
チユは震える両手を胸の前で組んで落ち着かせる。
『…私は、大丈夫、だよ』
『最近、少し寝付きが悪くて、それで散歩してただけだから』
『_だから、大丈夫。私、なんともないよ』
安心させるように微笑むチユ。
しかし無理やり取り繕(つくろ)ったそれに、一同は心を痛めるだけであった。