第5章 【第4章】ついに明かされる先輩の秘密!!
『(ここが体育倉庫…初めて来た)』
「僕も初めて来るけど…いかにも野蛮な生徒が集まりそうな場所だね」
「俺の方に向きながら言うな!!」
チユは倉庫よりも1つの施設のように見える建物を見上げる。他の生徒は来たことがあるのか「相変わらずの雰囲気だ」と言わんばかりの様子である。
「こっちっすよ〜」
チアキの案内で錆びた鉄製の階段を上っていく。そしてしばらく進むと大きな鉄製の扉の前に着く。
そして重々しいその扉を開くと、高く積まれた跳び箱と1人の男子生徒がいた。
「ノーズ、お客さん」
「ああ、そいつらか…ん?チユじゃないか。久しぶりだな」
『ノズチカ君、元気そうだね』
親しげに話す2人。しかしその会話を聞いた他の生徒たちは驚愕する。
「えっチユ先輩、マフィアのボスと知り合い!?」
『知り合いというか…依頼人?』
「体育倉庫の中と入口の〈socialclub〉ってペイントのデザインを頼んだことがあるんだ」
「「ええ〜!!?」」
「そういえば、デザイナーの仕事も時折やっているそうだな」
『副業だから、あんまりやらないけどね』
ふと思い出したように指摘するラントにチユは微笑しながら答える。
「えー。ノーズ、聞いてないんだけど」
「別に話すほどのことでもないだろう。デザインがよければいいって言ったのはお前だろ。興味も無さそうだったし」
ノーズの的を得た答えにぐうの音も出ないチアキ。
確かに基本他人に興味のない彼のことだ。
たとえ、ソシアルクラブ設立当時にデザインした人物の名前を教えられても「ふーん」の一言で済ませていただろう。