第3章 【第2章】ミステリアスな先輩を探せ!!
テニスコートに向かうがてら、チユの行動経緯を考察してみるジンペイたち。
「なんで勉強会の後にテニスコートに行くことになったのかしら?」
「そうだな〜…いきなりテニスしたくなったとか?」
「もしくはテニスコートに行く用事ができたんじゃないかな」
「用事って?」
「ん〜…例えば、テニスコートにいる人に用があるとか?」
YSPクラブ員たちが様々な考察を広げていると、ようやくテニスコートに到着した。
「本当にチユがいんのか?」
「…あっ見て!コートの外側のところ!」
コマが指さす方向には、女子生徒と親しげに話す九尾リュウスケの姿があった。
「あのキツネ野郎!!チユと何喋ってやがる!!」
「えっ、あの人が龍我先輩!?」
「ああ、間違いない」
ジンペイたちには遠くて顔が分からないが、メラとラントには見えているらしい。
目的の人物が見つかって安堵するも束の間。九尾に向かって走り出すメラを追いかけるジンペイたち。
「おい九尾!!」
「おや、何やら野蛮な獣がいるね。チユちゃん、下がっていてくれ」
『えっ、でもメラ君は…』
「なに、心配はいらないよ。危険な輩から女性を守るのは紳士の務めさ」
「誰が野蛮な獣で危険な輩だ!!今日こそ片をつけてやる!!」
友人たちの一触即発の雰囲気に怯えて固まるチユ。どうするべきか迷っていると、ジンペイたちが駆け寄ってきた。
「またメラと九尾先輩の喧嘩か!?よーし、オレもやるぞー!!」
「ジンペイ君!?」
「ちょっと、混ざろうとしないの!!」
「そうだよ!今の僕たちにはやることがあるでしょ!!」
「この人たち、いっつもこんなんなんスか?」
突然現れた見知らぬ少年少女に驚くチユ。メラたちの友達だろうかとぼんやり見ていると、様子を見かねたラントに声をかけられる。
「チユ、急にすまない」
『!!…ううん、大丈夫。何か用?ラント君』
突然久しぶりに幼なじみから声をかけられ驚くチユ。しかし嫌がる素振りはなく、むしろ友好的にも見える態度にラントはどこかホッとした。