Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第8章 壊して
屋上に着くと案の定、ステラがいた。
後少し歩けば下へと落ちるような位置に立っている。
「ステラ」
名前を呼ばれたステラはこちらを見ようとせずに、銀髪をなびかせたまま月を見つめていた。
「…リヴァイ」
ステラが俺の名を呼んだ。何も珍しいことではないのに、その声の美しさに思わず背筋が震えた。
「上官達がお前のことを探してた。こんな所に長くいたら風邪ひくぞ、」
「うん…。もう少ししたら行くよ。先に行ってて、リヴァイ」
頑なにこちらを向こうとしないステラに、微かに苛立ちを感じながらも、振り向かせたいという思いの方が勝ってしまった。
何故か、そのままこいつが飛び降りてしまいそうだったから、心がざわついていたというのもある。
俺はステラの方に近づいた。
「来ないで!」
思わず足が止まった。面と向かって拒絶された驚きと絶望が渦巻いていた。
しかしステラの顔を見たらそんな絶望は吹っ飛んでしまった。
____あぁ、お前も俺と同じことを考えていたのか。
失いたくない。ならば最初から手に入れなければいい。
そう思いながらも欲しくて欲しくてたまらない。
俺は思わず笑みが溢れそうになってしまった。
ステラの制止を聞かずに近づいた。