Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第7章 選択
屋上へと向かうドアを開けると、ステラはいた。月明かりに照らされた長い銀髪が風になびいている。
ドアを開ける音はあまりならなかったはずなのに、ステラはばっとこちらを振り向いた。
以前より人を敏感に察知するようになっている気もした。
「…リヴァイ!」
彼女はぱあっと顔を輝かせてこちらに来た。
「……こんなとこいて寒くねえのか」
「うん、大丈夫。夜風って結構気持ちいいの」
「ああ……確かに、悪くない」
リヴァイは隣に腰を下ろし、暫く沈黙に浸っていた。
「……ごめんね」
「あ?」
目を閉じたまま、ステラが静かに言った。
「2年前、……私はエルヴィンと会った。彼は…ちょっとした取引を持ちかけてきて…それに乗ったから今私はここにいる」
「………」
「急に去ってしまって……あんなにお世話になったのに。何も返すことなく、ただ去ってしまった」
「いや待て、お前は何も謝る事ねえ。あの時俺がもう少し早く気づいていれば……」
「ううん、そんな…。それに、その……あなたに会えた嬉しさで泣いてしまった。幻滅したでしょう…」
下を向くステラを思わず凝視してしまう。
そんなことを言われて期待しないほど俺は馬鹿じゃない。
「幻滅なんかしねえよ……言ったろ、別に俺に感情を制限する必要はねえと」
「うん、……うん」
ステラはこちらを見てから、また下に目線を戻して頷いた。
俺は以前から聞きたかったことを聞いた。
「なあ、……お前さっき取引と言っていたが、俺らに危害を加えねぇ代わりに……とか言われたんだろ?」