Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
……それもそうだろう。
一夜で両親を失い、自らも追われている。両親を埋葬することも出来ない。左足の傷を見る度に嫌な記憶も蘇ってしまうのだろう。
(……どうすりゃいい…?)
慰めてやりたいが、俺はこういうのは得意ではない。ファーランなんかは得意だろうし、イザベルも持ち前の明るさで吹き飛ばしてしまうだろうが。
喉の乾きは我慢することにして、今日は寝てしまおう。
そう考えて戻ろうとした時、軽く空いたドアを押してしまった。
ギィ、と静かな空間に音が響き、ステラがはっと息を飲んだ。
ここで引き返すとずっと聞いていたのかと変に思われる。軽く息を整えてからドアを開けた。
途端、ステラはものすごい速さで目を拭い、ぱっと立ち上がった。
「……お前、イザベルのとこで寝ろと言ったろう」
もう少し気の利いた一言でもかけてやればいいのに、と自分でも思った。
「………水を、飲みに来たの。………喉が渇いて」
ステラが目を赤くしたまま言う。
「……そうか。……奇遇だったな、俺も飲みに来た」
「私が入れるよ……リヴァイ、さんは座ってて、」
きっと、泣き腫らした目を見られたくないのだろう、ここは素直に従うことにした。