Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
今ではファーランにも撫でられる事が多くなり、‘撫でられ慣れた’のだろうと思う。だが最初の頃撫でただけでびくっと縮こまる此奴を知っているのは俺だけだと、どこか優越感に似た感情を抱いていることに最近気づいてしまった。
こうして隣に座れるのも、あの日以来だ。
それまでは怯えていたのもあるが、悲しみ故に一人でいたいのだろう、中々打ち解けなかった。
ただ匿っているだけなのに打ち解けるか、などと心配するのもどうかとは思うが。
丁度、この場所だ。
先程も涙を流していたから焦ったが、あの時より素直な返答がある事に、距離が近くなったのは座る場所だけでは無いのだろうとどこかで喜んでいる自分がいる。
全く、俺は何を考えている?
クソ冷たい風を暖かいと言い張る此奴の為に開けた窓を見ながら溜息をついた。
その日は、ステラが来てから1週間程だった頃だった。
(……寝れねぇ)
何故か眠りにつけない。喉の乾きも感じ水を飲もうと起き、キッチンへと向かった。
不気味な程に静かな隠れ家の中を音を立てずに歩いていると、ふと目的の部屋の中から泣いている声が聞こえた。思わずドアに伸ばした手を引っ込める。
完全に閉まっていないドアの隙間から静かに覗き見ると、ステラがソファーの上で足を抱えて顔を填め、静かに泣いていた。