Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第6章 安堵
泣いてしまうかもしれないとは思っていた。
馬車で連れ出してからずっとステラは思い詰めた表情をすることが多かった。
訓練後は木の上か屋上に登って地下街の方を向いて銀髪をなびかせながら静かにその方向を見つめていたのも、地下街に忘れることが出来ない物を置いて来たからだろう。
そして張り詰めた糸が切れてしまうタイミングが、1番ショックな時だった場合、ステラは壊れてしまうんじゃないかと思っていた。
「あの子、私達の前では笑うけどね。……誰もいなくなると悲しさが溢れてくるのかもしれない」
そう言ったハンジはステラを気にかけるようになった。
「何か守りたくなるんだよなあ、ステラって」
ミケもハンジも口を揃えて言っていた。
分かる気がする。ひとつの駒であると同時に、その駒は絶対に手離したくない。
地下街のゴロツキを入団させれば、戦力が上がるだけじゃない。もしかしたらステラが思い詰める表情をしなくて済むのではと思った……という理由は、誰にも話さないでおいた。
予想通り…少し寂しい気もしなくは無いが、ステラは今まで張りつめていたものが切れたかのように地下街のゴロツキの腕の中で泣いている。
俺の作戦通りに行けば、絶対に手離したくない駒を‘2つ’確実に手に入れられるだろう。