Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
髪を梳く手を止めずに、目を瞑り続ける目の前の人物を見る。
さらさらと流れる白銀の髪は絹のようで、白い肌によく栄えている。長い睫毛が下を向いており、その下に隠れる吸い込まれそうなブルークリスタルの眼を見たいと思ってしまう。
______「何故私を此処に置いていてくれるの」
ふと手を止めた。
分からない。ファーランにも同じことを聞かれた事があるが同じようにはぐらかした。
あの日、追っ手に追われる彼女をそのまま突き離さなかったのは何故なのか、自分でも説明できない。
断じて、この地下に住む人に迷惑がかかるから出て行くと、自分よりも他者を優先する此奴を放っておけなかったとか、その消えてしまいそうに儚く美しい容姿に惚れただとか、そんなことは絶対に無い。ありえねぇ。
再び手を動かし始める。
もうとっくに乱れた髪は元に戻っていた。
自分で髪を撫でておきながら、よく撫でさせてくれるようになったなと内心思う。
最初は怯えていて(当たり前だろう、つい先刻両親を殺され自身も足を撃たれていたのだから)、足の治療をするのでも精一杯だった。
潔癖である自分が初対面の女の足に、血に触れるなどどうかしてしまったのではと思うが、自然と嫌ではなかった。