Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第6章 安堵
俺はナイフを手にしたが、低く唸るような声で言われた。
「よせ。周りをよく見ろ」
目だけ周囲に向けると、ファーランとイザベルが捕まっているのが見えた。
「っ…チッ…」
仕方なしにナイフを捨てると男は手を離して俺達を拘束した。
男は俺に質問し、泥水を啜らせた挙句最悪の選択を持ちかけてきた。
立体機動を使っていたことや犯罪を犯していたことはお咎め無しだが、その代わり調査兵団に入れ、と。
入るつもりなど毛頭なかったが、ニコラス・ロヴォフの任務は資料の奪取とこの男、エルヴィン・スミスの暗殺だ。
敵を刺すなら内側から……
「いいだろう、入ってやるよ」
「兄貴!」 「リヴァイ!」
はぁ、と溜息をつきながら敵自ら首を差し出すような行為に違和感を感じていたが、近づけるなら良い。
馬車に乗り込むと、共に乗ったエルヴィン・スミスに問われた。
「君達は3人だけだったのか?」
質問の真意がよく分からなかったが、あいつのことを少しでも悟られるようなことがあってはならない。
「あぁ、それがどうした」
すると其奴は驚いた顔をして
「…そうか」
と一言だけ言った。