Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
逃げ出したと言っても、13歳の女が複数の男に敵う筈も無い。ましてや相手は銃を所持している。
それでも、走ることをやめなかった。
死んでしまいたい。終わりにしたい。両親に会いたい。
何度もそう思うが、一種の呪いか何かのように両親の生き延びろという声が脳内に響く。
左足を撃たれながらも、肺が焼けそうになりながらも、死に物狂いで走り続けた。
隠れられそうな地下へと続く階段を見つけた時は、神様は本当にこの世にいるのだとさえ思った。
だが其処には人がいて、このままでは彼等も巻き込んでしまう。
此処に居てはいけないとどうするか考えながら走っていると、立体機動装置を抱えた人とぶつかった。
あ゛ぁ?と声を上げる三白眼の黒髪のその男の人は、怪訝そうに私を見て暫く固まっていた。
追っ手の怒号が響き渡り、地上に出て彼等を引き付けるか、此処で永遠に逃げ惑うか考え立ち尽くしていると、その三白眼の男は舌打ちをして私を後ろに隠した。
中央憲兵達に彼は何かを言う。彼等は溜息をつき罵声を上げながら去っていった。
彼は、その後私がその地下から去ろうとするも、居場所ねえだろ、と匿ってくれた。
よく考えたら、今私は13歳だ。此処に来てから、あまり時間は経っていなかったようだ。
それでもこんな境遇の私を此処に置いていてくれるのには何か明確な理由があるのかと思ったが、あの人は気まぐれだと言う。
何時か知れたらいいなと思いながら、未だ私の髪を梳き続けるリヴァイに寄せている思いに蓋をした。