Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第5章 忠誠
冷たい風が突き刺してくるようになった。
壁外調査に何故自分の思案した長距離索敵陣形が通らないのか悩んでいる俺の前には、先程から巨人捕獲について熱心に述べるハンジと目を瞑り腕を組み続けるミケがいる。
窓から訓練しているステラの様子が目に入る。
半年間の訓練も既に終了しており、今は上官達と共に行動していた。
「エルヴィン、随分彼女を気に入っているんだな」
ふとミケが口を開く。ちらりと目をやるだけで言葉は発さない。
「ミケ、君も人のこと言えないだろう?初対面の時から匂い嗅いで離れなくなったのは誰だったっけ?」
「俺はお前ほどじゃないぞハンジ、四六時中傍につかせようとはしていない」
「仕様が無いだろう、私の話を聞いては新たな考えまで持ち出してくれるんだ……こんなにも素晴らしい事は無いね」
互いに言い合う横で、彼女は人を惹き付ける何かがあるのだとやはり再認識する。
優しさか、強さか。何に惹かれるかは分からないが、あのキース団長でさえも、話すら聞かなかった長距離索敵陣形についてステラが説得した所話は聞くようになっていた。採用はされていないが。
「訓練兵達にも随分好かれていたみたいだ、ステラは」
「へえ?」
「最初は途中参加だという事に疑問は持たれていたようだけど。調査兵団に所属が決まっていると話した時、憲兵や駐屯兵希望の子達に引き留められたと聞いたよ」