Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第5章 忠誠
「座学、寝てしまう」
ある夕方、資料に目を通す俺の前の椅子に座り、机に倒れ込み眠そうにステラは言った。
半年の上官達との訓練を終え、訓練兵としての半年間の訓練をしているステラは、1週間に1度顔を出せと言った俺の指示を忠実に守りこうして部屋に来ているのだった。
忘れがちだが、彼女はまだまだ子供であると認識し思わず資料から目を離す。
「ハンジさんの話なら幾らでも聞けるのに……」
余程眠いのだろう、聞き取れない程小さな声で言った。それはそれで誇れる事だと言いそうになるが留まる。
「……ステラ、これに少し目を通してくれないか」
殆ど寝かかっていた彼女にそう言うのも気が引けたが、彼女は直ぐに上体を起こし資料を受け取った。
壁外調査における長距離索敵陣形なるものを思案していたが、まだハンジにもミケにも話していなかった。何故彼女に見せたかは分からないが、見せるべきだと脳が言う。
「………煙の色で判断は?分隊長さん」
暫く見つめた後、ステラは小さい声で、しかし先程より力強く言った。最近彼女の中では分隊長さん、と呼ぶ事が流行っているようだった。何故なのかは分からないが。
「煙の色…か…」
「信煙弾……巨人の来た方向を知らせるもの、それによって進行を定めるもの…何かの非常事態の際に打つもの……」
独り言のように小さく言われた言葉を聞き逃さないように注意して聞く。取り消そう、彼女は子供らしいどころか我々大人でも思いつかないような事を考えている。
「ステラ、採用させてもらう。団長に話を通そう」
彼女の驚いた表情を目に止めながら、資料を再び作成し始めた。