Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第5章 忠誠
「言ってくれるじゃないか。
はぁ……それにしても…気になったから此処に連れてきただなんて上にどう説明する気なのさ」
「……上手くやるさ」
再びため息をついたハンジはやれやれ、と言ったように頭を振る。
「……エルヴィン、理由はそれだけかい?」
ハンジはステラから目を離さずに言う。反論は無いが、俺が一人の少女をそこまで手にかける事に疑問はあるのだろう。
「彼女は中央から命を狙われている。地下にいたままではいずれ捕まるだろう。そして地上へ出られたとしても同じだ。追われて命を落とす」
頭上の木の葉が騒がしい。ハンジは今度は空を見据えている。
「ミケの鼻が利くように、彼女は視線を感じる力が鋭い。十分な能力を備えている彼女が何の意味もなく命を落とすくらいなら……我々調査兵団に引き込んでしまうべきだと判断したからだ」
「無意味に死ぬより巨人と戦って死ねと?」
「……ああ」
「……生き残らせたい気持ちが強いんだねエルヴィン、隠しきれていない」
「はは……実際自分で驚いている所だ、こんな事で悩むとはな」
「へーえ、エルヴィンも存外人間らしい所もあるんだねぇ」
地上に降りたステラが此方に歩いて向かってくる。壁外で活躍させる為か、生き残らせる為か。
その僅かの差に苦悩しながらも、彼女の訓練をやめることは無かった。