Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第5章 忠誠
「貴方自身の我儘?ただそれだけで態々地下に?」
「ああ、そうだ」
ひどく安心したように笑うステラからエルヴィンは目を離さない。
ふわりと笑い、暫くぼうっとしていたステラが急に真っ直ぐに自分の方を見たためエルヴィンは僅かに驚いた。
「エルヴィン、私は我儘な貴方の手にでも足にでもなろう。駒として最大限に活躍すると誓う」
今まで隠されていた太陽の光は、既に馬車の中を明るく照らしていた。
自分の言動でステラの何かが変わったとは思ったが、忠誠を誓ってくれるようになるまでとは、とエルヴィンは密かに驚いていた。
馬車は止まり、ステラは地上の地面に足を下ろす。
太陽が眩しい。まだ所々に暗い雲がかかっている。
調査兵として父の後を継ぐ決意はあるものの、未だに地下街の彼等のことが頭から離れない。
地下に連れて行ってくれるよう頼もうとも考えるが、エルヴィンに彼等の存在を知らせる訳には行かない。
中央憲兵に見つからないように地下街まで戻れるだろうか、
「ステラ、地下街へ行く事は許可しない。行く道中、中央憲兵の監視を受けることになる」
ステラは項垂れる。
(母様、父様……どうか彼等を守って)
エルヴィンに悟られぬようにそう願い、ステラは彼の後に続いた。