Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第5章 忠誠
「……私を本当に調査兵団に?」
「ああ……売りに出すとでも?」
「何故そんなにも迎え入れてくれるの?私は何の知識もなく中央憲兵に後を追われる面倒な立場なのに」
「さあ……何となくだな」
途端ステラの目に彼の姿が映る。
地下街で今どうしているだろうか。あんなに世話になりながらも、礼の一つも言わずに去ってしまった。
表情に出さないようにしながらエルヴィンへと顔を向ける。
「3年かけてやる事を知識が皆無な私が1年でできるとは思えない……それに、私一人のためにそこまで厳重に守る必要も無い。同情でその決断に至るのなら私は逃げる方を選ぶ」
ステラの語気は自然と強まった。しかしエルヴィンは動じない。
「後から絶望を味わうくらいなら今ここで引き離された方が楽……調査兵団へと偽って売りに出すくらいなら今ここで殺して」
「……ステラ、我々は本気だ。
同情がないと言うのなら嘘になるが、それなら調査兵に入団させずに地上の安全な場所で匿えばいい話だ。
1年で知識を詰め込もうとしているのも、俺が無理矢理君の能力を鍛え、調査兵団の力を強めるためにすぎない。
生憎、俺は人を売るようなことには微塵も興味が無い。俺はただ君を調査兵団の兵士として欲しいだけだ…俺自身の我儘だ」
エルヴィンはステラを真っ直ぐ見る。
目を見開き、驚いた様子のステラから、笑みが溢れた。