Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
何時も通り、過ごしていた。
母様は夕食をつくり、父様は本を読んでいた。
あの日、この世界そのものを呪ってしまいたくなる程に絶望を体感したあの日………その‘何時も通り’が、ドアをノックする音で壊された。
窓から‘彼等’の姿を確認した父様の顔は青ざめ、それを見た母様も恐怖に染ったように見えた。
ノックする音が大きくなり、ドアを蹴り破らんとする彼等に、父様と母様は私を守り立ち向かおうとする。
しかし、両親は目の前で銃で乱射され殺された。
急に視界を奪われたように、何もかもが真っ暗になった。
両親の元へ駆け寄り揺さぶるも、血と私の涙が散らばるだけで何も変わらない。
泣き叫んでいる声が私のものだと気付いた時には、彼等___中央憲兵に、腕を惹かれていた。
______「この子供を売るのか?…上の趣味は分からねえな…」
「こんな上玉なら俺が貰ってもいいんだが」
「ああ、たしかにな」
「……さあお嬢ちゃん、俺たちと一緒においで」______
脳内に、彼らの声がそう響いた。
きっと私はこのまま殺される。でもいいか、そうすれば両親に会える、
________生き延びて
ぎり、と歯を噛んだ。
父様が、母様が、そう強く言い私の背中を押した気がした。
涙を止めて腕を引く兵士の鳩尾に蹴りを入れ、隙をついて逃げ出す。
男達の怒号が聞こえるが、ただ一心不乱に夜の闇の中に逃げ込んだ。