Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
(…………気まぐれ)
思わぬ答えに動揺しつつ、リヴァイを目で追う。
彼はそう言うが、そんな言葉で片付けられない程、私の置かれている立場は面倒なものだ。
優しさに感謝しながらも、ばれないようにそっと窓を開ける。
(…暖かい)
きっと地上では太陽が降り注いでいるのだろう。私の家に咲いていた花たちも、人がいれば咲き乱れている頃だ。
そっと目を閉じると、再び銃声が聞こえてくるようで鳥肌が立つ。だが、紅茶を淹れている彼の姿を見るとそれも遠ざかり、眠りに落ちる。
此処に来てからどのくらい経っただろうか。
足の傷は跡が残るものの、もう治っている。
何ヶ月か、いやもしかしたら何年か経ったのかもしれない。
だが、リヴァイを見ると心臓の鼓動が早くなる事に気付いたのはつい最近だから、もしかしたら何日かしか経っていないのかもしれない。
目を閉じてどのくらい時間が経ったか分からず、そっと目を開けようとしたが、リヴァイの気配がして急いで強く閉じる。
彼が軽く溜息をつきながら窓を閉めたのが分かった。私の乱れた髪を今度は手で梳いている。
ああ、しまった。目を開けるタイミングを逃してしまった。
きつく閉じているものの、脳は起きている。寧ろ、全く眠くなくなってしまった。
ふと、頬を暖かい風が撫でた。
少しだが、開けていてくれたのだ。この人はどこまでも優しい、と笑みが溢れそうになるが、今私は‘寝ている’のだから我慢する。
____遠くで銃声が聞こえる。
それが私の頭の中なのか、この地下街でのものなのかは分からなかった。