Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第3章 期待
「リヴァイ、ここにいたのね」
「……ステラ、」
彼女は俺が血のついたナイフを洗っているのを見て、顔を強ばらせて静かに言った。
「……怪我したの?」
「いいや、……俺の血じゃねぇ」
「そっか、良かった…」
「あ?」
安心したように笑うステラに度肝を抜かれた。
「玄関に戻ったら血がついていたし……リヴァイも見当たらないし、ファーランが今血を洗いに行っているなんて言うからもう……心配した……」
「おい、おい待て」
「え?」
「あ?」
いや、普通怖がるだろう。
例え俺が怪我してないことに安心したとして、この血は俺が傷つけたやつの者だ。
「……お前は俺が怖くねぇのか」
「怖くない」
「…これでもか?」
ステラの目にくっきりと映るようにナイフと服を見せた。彼女が去ってしまうのは嫌だが、怖くないと無理を言わせたい訳じゃない。
「……リヴァイ」
ステラは俺の血のついた手を握り、真っ直ぐに俺を見ながら優しく笑った。
「言ったでしょう。……貴方を怖がる理由なんて1つもない」
ぎゅんと心臓が捻り潰されるような感覚になったが、悟られまいと必死にステラの目を見た。
だがそれが逆に、こいつの目に射止められる結果になり、蓋をしたはずの感情が溢れてきた。