Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第28章 誘拐
俺達が近づくとステラの首にはナイフが埋まっていく。隙を着いて取り返すしかない、今は感情を押し殺せ。ステラを守りたいなら怒りも殺気もしまえ。
気付くと、周囲は黒い服を着た銃を持つ奴らに囲まれていた。といっても……精々10数人だ、こいつらはどうとでもなる。
ステラは震えながらも必死にその男の腕から逃れようとしている。唇を噛み締めすぎて血が出ている。
エルヴィンとハンジに腕を掴まれていなかったら、俺はまたこのままステラに近づいてしまうだろう。
「うん、その人の方が幾分か物分りがいいみたいだね」
その人、とハンジに向かって男は言った。
「近づかない方がいいよ、じゃないと君達の大切なお姫様の首が飛んじゃうから」
「てめぇ……!」
ヴァニーユがぎり、と歯を噛みながら睨みつける。
ハンジが静かに聞いた。
「2つ聞く。さっきステラに打った薬は何だい?お前の目的は何?」
「そうだね……筋弛緩剤とでも言っておこうか。暫く体術とかは無理だろうね、というか解毒剤も俺が持ってるし。目的はもう言ってるよ、ルージュを奪い返しに来た。…………ねえルージュ?来てくれるよね?」
ステラは思い切り首を振り、震えが止まらない様子で唇を噛み締め続け、その腕から逃れようとしている。