Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第26章 涙
「リヴァイ兵長、団長が右腕を失い重傷です。ステラさんが兵を率いて帰還、今壁上でも指揮をとっておられます。直ぐに負傷兵と団長、ステラさんを優先的に此処へ下ろします。すみません、詳細は後程」
「いや、いい……充分だ」
ノワールに悟られないよう、深く深呼吸をした。
無事だ、という思いが確立し安堵から力が抜けそうになる。懸念すべき事は多くある……右腕だとか……それに絶対あいつも怪我している。ステラの部下の顔を見れば分かる。
無事ではあるだろう。だが怪我をしていないとは言っていない。
しかし何とか抑え無事だという思いに集中した。そうでもしないと自分を保っていられる自信もない。
右腕を失った?エルヴィンがか?
それを支えてきたんだろうステラ?
怪我はどの程度だ、出血は少ないか?本当に無事なんだな?
駄目だった。やはり、先程から心臓が嫌な風に激しく鼓動している。
頼む、早く戻ってきて無事であると___その姿を見せてくれ。
周囲に悟られぬように深呼吸をし、壁の前を往復する。
少しでも何かしていないと、ステラの無事を確かめるために立体機動を奪い去るか素手で壁を登ろうとしてしまう。
ノワールが報告に来たのが、何時間も前に思えてしまう程に、ステラ達が来るまでの時間は長かった。