Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第26章 涙
「……チッ」
先程から舌打ちを繰り返している。無意識だが、俺がそうする度に周囲の人間が飛び上がって怯えている。
日は沈んだ。
まだか。まだ帰らないのか。
ああクソ……無事か?俺の足などどうでもいい、あいつを近くで守らせてくれ。
何度もそうぐるぐると考えていると、壁上に1人の兵士が来た。それが……確かヘーゼルだった筈だ、兎に角ステラの隊の奴だと分かった瞬間、俺はニック司祭の監視を周囲の調査兵に任せ向かった。
どういう事だ……エルヴィンならステラを行かせるはずだ。あいつならそうする。
つまり……それが出来ない状況だということか?……指揮はステラがとっているのか?
まさかまた怪我してそれを抑え込んでることは無いだろうな、と思いながらも、ハンジやヴァニーユがあんなに早く病院へ行けたのはあいつの指示があったからだ、とステラの優しさならやりかねないと考えてしまう。
壁上を見上げると、ヘーゼルが医療班を呼び集めていたのが辛うじて見えたが、直ぐに姿が見えなくなった。
ステラはどこだ、と目を凝らすが、やはり下からでは限界がある。
兵を呼び状況を知ろうとしたが、俺が呼ぶ前に兵士が1人___ステラの隊の兵士__確かノワールだ__が、状況を報告しに来た。