Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第25章 奪還
ああ、何を腑抜けた事を考えている。
此処で終わってられない!死んでしまうと諦める事の何という情けなさ!
壁内でリヴァイが待っている、エルヴィンをこんな所で死なせはしない!!
「ステラ…」
力無い声が私の名を呼んだ。
「エルヴィン、待ってて……今終わらせるから…!」
破った服と糸で無造作に足を縛り血を止めた。
顔色も悪く息も荒くなってきたエルヴィンを一刻も早く連れて帰る為に、うぉおおお、と咆哮を上げながら今まさにエルヴィンに手を伸ばそうとしている巨人に、ヘーゼルとノワールと私で切りかかろうとした。
しかしその巨人は此方に来る事が無かった。いいや、周囲の巨人全てが動きを止めある方向に____エレンのいる方向に走り出したのだ。
「っはあ?!」
またヘーゼルとノワールが叫んだ。
「……は?」
それしか口から出てこない。体は何とかエルヴィンを馬に乗せる動作をしていたが、口から出る音はそれだけだった。
エレンはミカサを抱えて此方に走ってきたが、途中鎧に向かって叫んだ。
「来るんじゃねえ!!てめぇら!クソ!ぶっ殺してやる!!」
途端、エレンがいた所で群がっていた巨人達が鎧の方へと一斉に向かい、群がった。
口からは相変わらずは?としか出ないが、今私はエルヴィンを後ろに乗せて馬に乗っていた。自分がしている行動も無意識になってしまう程に訳の分からない状況だった。
皆が恐怖の中唖然としていると、後ろでエルヴィンが声を振り絞って叫んだ。
「この機を逃すな!!撤退せよ!」