Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第25章 奪還
次々と降ってくる巨人に何時食われるかも分からない、エルヴィンが何時まで意識を保っていられるかも分からない。
恐怖の渦に飲み込まれて抜け出せそうにない。
壁外では常に周囲や次の事を考え、恐怖等二の次だったと言うのに……
迫る巨人からエルヴィンを守ろうと削ぐも、四方八方から来る。いくら触覚が強くたって、手は2本しかない。削ぐことを諦めて馬にエルヴィンを乗せようにも、その間に食われてしまう。
エルヴィンの前に来たある一体を削ごうと目に刃を指すと、足に弾みで歯が軽く刺さった。
何ともない部分だったのなら跡がつく程度だっただろう。だが……刺さったのは左足の太腿____撃たれた傷がある場所だった。
今まで1度もなったことなど無いのに、今この時、1番なって欲しくない時に傷が開いた。
痛みが遅れて来た。血が流れているのが分かる、ああ、巨人の腕が目の前に……
……死ぬ、
「ステラさんに近づくんじゃねえよ」
瞬間、ヘーゼルがその巨人の項を削いだ。
一瞬状況が理解出来なかったが、ぶわあっ、と汗が全身から出たような気がした。
「ヘーゼル、」
自分から乾いた声が出た。今、たった今死にそうになった事実に背筋が凍った。この感覚は何時ぶりだろうか。
「ステラさん、周囲は僕とヘーゼルが殺ります!止血を!」
「……ノワール、」