Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
______鳴り響く銃声、両親の叫び声、男達の怒号……、
「ステラ」
優しい声が私の名を呼んだ。
窓から零れるのは乾いた風だけで、陽の光などは一滴も入ってこない。だがその風がどこか暖かく感じて、窓を開け放ち微睡んでいた。
「…ん?」
目を擦りながら開けようとすると、自分が泣いているのが分かった。
ひどく優しい顔をして、紅茶を片手に‘彼’は私の頬を伝った涙を拭う。
「……風邪ひくぞ」
「…大丈夫、……風、暖かいから」
こんなクソ冷たい風のくせに何言ってやがる、と彼は窓を閉め、紅茶を私に手渡した。
足を組んで私の隣に座った彼は、目を伏せて紅茶を啜っていたと思えば、片目だけを開けて怖い夢でも見たのかと聞いて来る。
そんな子供じみた事で泣くはずなど、と何時もなら言うかもしれない。でも今日は___今日は、少し素直になってみるのも良いかもしれない。
「…うん。怖かった。………少し、思い出してしまった」
「…………」
彼は紅茶を啜りながら、頭をわしゃわしゃと撫でてくる。目を細めて暫くされるがままにしていると、ふと疑問に思い言葉を発した。
「リヴァイ」
「……何だ」
「…何故私を此処に置いていてくれるの」
彼は手を止め、微笑しながら紅茶を啜る。
立ち上がって髪が乱れたままの私をそこに残し、再び紅茶を淹れに行った。
「………ただの気まぐれだ」