Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第21章 女型捕獲Ⅰ
「回収不能の遺体は行方不明で処理しろ」
エルヴィンがそう言うのを聞き、自分の中にある悲しい、悔しい、ごめんなさいという感情全てを押し殺して遺体を荷馬車に乗せた。
すると突然、1人の兵士がイヴァンという兵士の遺体が、巨人が近くにいて回収出来なかったから連れて帰れない、だがどうしても連れて帰りたいのだと言い張った。
「死亡が確認できたら十分だ」
リヴァイやエルヴィンがそう説得するのを聞いた。
____「お二人には人間らしい心がないのですか!」
自分の体が、頭が追いつく前に行動したのは初めてじゃない。
この時は、もう既に彼の頬を叩いていた。
「……っステラ分隊長、」
「ひとつ誤解しているようだけど」
こんなにも怒りという感情が出てきたのは何時ぶりだろうか。
「彼らに人間の心がないのであれば私は何になるだろうね、少なくとも今ここで生きていていい存在じゃない」
「……あなたは、」
「あなたは違う?さあ、本当にそうかしらね。自分の動き回りやすいように部下を駒として動かし、目的を実行する為に何人もに死の道を歩ませるような計画を立てたのは紛れも無いこの私よ」
「………っ!」
「私は人間じゃない。人間の心が無い。貴方の怒りを私にぶつけるのは正当だけれど、彼等を貶す要因は何処にも無い筈よ」
そう。リヴァイやエルヴィンが人の心を持たないというのなら、彼等がこんなにも悲痛な顔をするはずが無い。
兵士として歪んだ私は、母様や父様がいた平和な時のように、もう二度と人間には戻れないだろう。
気遣わしげに見るエルヴィンとリヴァイの視線を感じたが、私はそのまま陣形を形成しているヴァ二の元に向かった。