Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第19章 恐怖
「俺と結婚する気にはなった?」
「……い、い……え……」
がたがたと口が震えて上手く話せない。
人が周りを通り過ぎていく音だけが耳に残る。
恐い。
兵士になってから対人格闘も、話術も、色々な力が向上したはずなのに、彼の姿を見ると震えが止まらない。
両親の倒れている姿が脳裏にちらつく。
次は何をされる?昔は口付けで済んだ、だが私がそれを拒むと彼は両親を殺した。
「ひとつ、誤解を解いておきたいんだけど」
モレクは言った。
「ルージュ、君は僕について行かなかったから両親が殺されたと思っているかもしれないけれどね、君が着いてきても俺は後々殺すつもりだったから大丈夫だよ」
なに?
それなら、_____なに?
頭が追いつかない。
彼は私を手に入れたいがために周りの関わる者全てを殺す気なのか?
怖い、恐い、怖い、……
「ね、ルージュ。今まで逃げてたみたいだけど……もう両親はいないんだからいい加減おいでよ」
肩に手を置かれそうになる。
喉から枯れた声が出る。
が、その手が肩に置かれることは無かった。
ヴァ二がその手をぎり、と掴んでいた。
「この人に触るな」
ヴァ二の殺気は凄まじく、巨人に向けるものよりも強く思えた。
「お前は誰だ」
「この人の婚約者さ、」
「こんなに震えているのに婚約者なはずがないだろう、消えてくれ」
「調査兵団?……ルージュ、君調査兵団なのかい?」
「黙れ。二度とこの人に話しかけるな。目障りだから消えてくれ」
モレクはヴァ二に何かを言いそうになったが、周りの人混みに巻き込まれそうになった為、口を噤んだ。
「ああ、たしかに今は無理そうだ……でももう場所はわかった、必ず迎えに行くよ、ルージュ」
そう言うとモレクは去っていった。
ヴァ二は震えが止まらない私の肩を抱き、馬車まで連れて行ってくれた。