Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第19章 恐怖
「ステラさん、あれは誰ですか」
あの時、ステラさんが震えているところに鬼の形相で突っ込んで行ったヴァニーユさんは、話しかけていた男を撃退した。
今、ステラさんとヴァニーユさん、ミカサと馬車に揺られている。アルミン達はもう1つの馬車の中だ。
ステラさんは下を向き、話そうとしない。未だに少し震えている。
「………誰でもない。関係などない」
小さく、しかしはっきりとした声でステラさんが言った。
「ステラさん!俺は頼りないかもしれないけれど!そうやって隠さないで下さい!もう……もう、貴女に傷ついて欲しくない……」
ヴァニーユさんはステラさんに声を荒らげたが、訓練兵時代に聞いた‘連れ去られた’事に関しているのか、項垂れて言った。
「……ありがとう、ヴァニーユ。でも本当に何でもない。ぶつかった時にいきなり求婚されたの。いきなり触られそうになったから怖くなっただけ」
「っ……俺は貴女を何年も見てきたんですよ、貴女が嘘を言っているかどうかなんてすぐに分かります。……心配かけたくないと言って黙るのはやめてください。………ただ、……俺は貴女のことを昔から知っている。貴女は団長のように、1度決めたら曲げない人だ。……話さないと言ったら話さないんでしょう………ですがステラさん」
ヴァニーユさんは力強く言った。
「俺も生憎、1度決めたら曲げない人です。貴女に命を捧げると昔から決めている。……貴女が話さないとしても俺は勝手に貴女の守備を強めます。良いですね?」
「………上官たちに話す必要は無い」
「……っ……」
「黙っていて。上官命令よ、ヴァ二」
「……ええ。そうしましょう。俺の方で勝手に守らせていただきます」