Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第19章 恐怖
「そう……ルージュ。俺はモレクだ」
名など聞いていない、と言いたくなったが、無性に怖くなり父様と母様の所へ戻ろうとした。
「ねえ、……君、グレース家の子じゃないかい?」
「え、」
不意にその男が私の肩を掴んで言った。
「真実を知った邪魔者のグレースと結婚したのは白銀の髪の女性……君の髪もそうじゃないか。第一、その驚きようが答えだね」
父様は深く理由を説明しなかったが、邪魔者として追われていることは知っていた。私にとって光のような存在である父様を何故邪魔者と言われるのかその時には分からなかったが。
「………」
「ねえ、ルージュ?俺と一緒に来てくれたら、君の両親を追わなくてもいいようにしてあげる。俺は貴族なんだ。憲兵を動かせる」
何言ってるんだこいつ、と思ってしまうのは仕方が無いと思う。急に、偶会って一緒に来てくれなんて頭のおかしい話はない。
「実を言うとね……君のことは毎年見てたんだ。でも両親がいたからね……今日は君から離れてきてくれたけど」
1人でずっと話しているこの人の話を、もう一度復唱してみた。私がこの人について行けば、両親は追われなくなる。
「………どのくらいの期間、ついて行けばいいの」
勇気を出してそう聞いた。
「え、?あぁ、言い方が悪かったね。俺と結婚してくれるなら、だよ」
は?
嫌に決まっている。………だが、これ以上両親を追わせたくは無い………
「あれ、直ぐOKすると思ったけどな。君の両親を追うことの指揮は俺がとっているんだけど」
は?
何?それじゃあ、今目の前にいるこの人の所為で両親は追われているのか?そんな奴と結婚しろと?嫌よ、そんなの。
「………嫌」