Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第17章 嫉妬
「ヴァニーユ」
ステラさんがそう言うのが聴こえた。名を呼ばれるのは何も珍しくないのに、背筋が震えるほどその声は美しかった。
俺はゆっくりと目を開けた。
「ステラさん…?…ステラさん!」
目を擦りながら起きると彼女がいた。夢だろうと思ったのに……驚いて上半身を起こした。
「戻ろう、ヴァ二」
「……え?」
何かあったのだろうか、まだ来てから数分しか経っていない。
そもそも、今回彼女をここに連れてきたのは彼女を休ませるためでもある。それなのにこんなに早く戻ってしまっては、彼女はまた仕事をしてしまう。
君も一緒に連れて行ってくれってヘーゼルとノワールに言われたの、とステラさんは言っていたが、それは俺も疲れているから一緒に休め、という意味では無い。
勿論疲れてはいるが、彼女ほどじゃない。これはヘーゼルとノワールからのステラさんを休ませてくれ、という無言のメッセージだ。
………もしかして彼女はヘーゼルとノワールの心配をしているのか?
何も心配することは無い、あの二人は普段おちゃらけているがステラさんの事となると人が変わったように真面目になる。堂々と言いはしないが、2人は本当に彼女を尊敬しているのだ。
___いいや待て、そんな理由じゃないんじゃないか?
きっと___いや、確実になってきたな___リヴァイさんだ。
この悲痛に満ちた美しい顔を見ると、きっと何かあったんだろうと思う。
だが……だが、どうすればいい?
俺には出来ない、彼女を幸せに出来るのはリヴァイさんだけだ。
でもこのまま彼女を放ってはおけない……そうだ、街に誘ってみるのはどうだろう。
彼女は休めるし、少しは……少しは、次の壁外調査の任務の危機感とか、リヴァイさんと何かあったこととかも、忘れられるんじゃないだろうか。
そう思って声をかけようとした時、別の声が彼女の名前を呼んだ。
「ステラさん!」