Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第17章 嫉妬
ああ、なんて醜い!
リヴァイの、彼の愛情を疑っているわけじゃない。私は彼を愛しているし、彼も私を愛している。
ただ……ただ、彼の隣にいる人が、彼の隣に立つ‘女性’が、私以外にいることに耐えられなかった。
こんなに醜い嫉妬心を抱えて、私は一体何をしているんだと思いながらも、持ち前の速さでヴァ二の元へ戻った。
そもそも、…彼女が、__ペトラがいることを知らなかった。彼女は可愛らしい風貌と共に、討伐10体、討伐補佐48体と、申し分ないほどの実力者だ。
実力で選ばれたのは分かっている。分かっていても、やはり自分の中に潜む黒い感情が爪を立てている。
彼女が彼の部屋にいたことも、彼と手を握っていたことも、そして2人ともどこか楽しそうに談笑していたことも!
さほど心配する必要などないだろう事なのに、自分の中の黒い獣は、牙を剥き出しにして唸ることをやめない。
沈めよう、沈めようとするほど、この獣は激しく唸り声を上げる。
ペトラの顔を見れば分かる。彼女がリヴァイに恋をしていることくらい。
___ああ、それか、
すとんと急に心臓が落ちた感覚になった。
走っていた足もいつの間にか止まっており、ゆっくりと地面を踏みつぶしていた。
リヴァイは尊敬の念と共に、熱烈な思いを向けられることも多々ある。
それが、私が知らないところで起こっていることに勝手にイラついていた。
リヴァイを疑っているわけじゃないのに、これじゃあまるでリヴァイが他の女とくっついてしまうことを恐れているようだ。
(……最低だな、私)
木陰で眠るヴァ二の姿を見つけ、ふうぅ、とため息を吐いた。
きっと今の私は酷い顔をしている。
部下に、仕事以外で余計な心配を増やしたくはない。
「……ヴァニーユ」
木の葉が風で揺れた。頬を撫でるその風は、今までで1番冷たかった。