Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第17章 嫉妬
___「リヴァイ、……兵士長」
今、私は何を見ている?
一瞬、状況が理解できなかった。
座っているリヴァイの手を、可愛らしい女兵士が握っている。
リヴァイも振り払うことをせず、ただその手を見つめていた。
リヴァイ、と呼んで思い切り抱きつこうとしていたが、その考えは呆気なく壊された。
私が入ってくるとリヴァイは驚いたと同時に、その手を払って素早く立ち、こちらに向かってこようとした。
が、私が兵士長、と呼ぶとはた、と足を止め、眉間に皺を寄せた。
「ステラ…?」
久々に愛しい人に名前を呼ばれたというのに、その声がまるで聞こえなくなってしまったかのようだった。
「……団長から資料を預かってきました。……それでは」
資料を机の上に置き、それだけ言って出ようとした。
彼女がこちらを見ている。驚くリヴァイも横目に見ながら、足を早めた。一刻も早くここから去りたい。
「…っ、おい!」
リヴァイが私の腕を掴んだ。彼女の視線が嫌という程突き刺さる。
「…どうかしましたか、兵士長」
リヴァイの顔を見ることなど到底出来ずに、顔を伏せたまま話した。ぎり、と私の腕を掴む手に力が入るのが分かった。
「…おい、どうしたステラ…」
「……仕事が残っていますので。…失礼します」
耐えられなかった。ふっと彼の手の力が抜けた隙を見計らい、急いで部屋を出た。
ステラ!と名前を呼ぶリヴァイの声がしたが、聞こえないふりをして走り去った。
途中、エルド達の驚く顔を見た気がしたが、それも見なかったことにしてヴァ二の元へ戻って行った。