Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第14章 指導
「ヴァ二」
少し驚いた顔をしたステラさんは、静かに立ち上がってその人の元へと行った。
分隊長補佐…と言っただろうか。あまり自分と変わらない歳のように見えるその人にもやもやを抱きながらエレンは2人を見た。
「…隈が出来てる。寝てる?」
「ええ、大丈夫ですよ、こんなのなんてことないです。
それよりステラさん、足どうですか。何か変なこととかされてませんか」
「足なら良くなってきてる。明日は立体機動に移ろうかな、…されてないよ、大丈夫」
「貴方はいつも鋭いのに…自分に寄せられる好意や尊敬には鈍いんですからホントに…」
やれやれ、とため息をつくヴァ二、と呼ばれた少年にそんなのないよ、と笑うステラさんは美しかった。
「これ、団長から渡された資料です。次の壁外調査の時のこともここに」
「封が開いてないけれど。会議参加してよかったのに」
「できませんよ…団長にもそう言われましたけど俺に貴方程の発言はできません。俺は貴方に仕えている方が心地いい」
「全く…ほんとに昔から変わらないなあ」
「それから、幹部の方々から無理をするなと言うように念を押されました。後…その…」
「うん?」
「ほ、報告書合ってるか確認して貰えますか?
団長に直接渡すのは初めてなので…」
ステラさんは資料を受け取って目を通すと、からからと笑いながら少年の頭を撫でた。
「ヴァ二、私でもこんなに上手くは書けない」
「…!」
「少し肩の力を抜きなさい、ヴァ二。
私が貴方に任せた。私が最初に認めた1番に信頼する部下が君だ…背負い込みすぎる必要は無いよ」
「…すみません、ありがとうございます」
緊張の糸がふっと切れたかのように笑って礼を言う少年に笑いかけるステラを見たエレンは、その少年が自分であればいいのに、と奇妙な感覚になった。